編集デスク・19
鷗外・漱石の家
長谷川 泉
pp.44
発行日 1962年9月1日
Published Date 1962/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663904256
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東京の文京・駒込千駄木町にある旧漱石居住の家が東京都の文化史跡としての指定を解除されて原形が消滅するというので,文化人の間にいろいろの論議を呼んでいる。
漱石が,「吾輩は猫である」を書いたこの旧居は,その前に鷗外も住んだこともあるので,期せずして,近代日本文学の2文豪が住んだ記念すべき史跡となったのである。もっとも,この家は,漱石の猫の家としては有名であっても,鷗外が上野花園町の第1夫人の家から移って,その後観潮楼に移るまでの間に住んだということはあまり有名ではなかった。一般には猫の家として知られていたのである。鷗外・漱石共に住人だというととで興味を寄せるのは,一部の文学愛好者や,鷗外漱石ファンだけであったかもしれない。
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