特集 患者の情緒的要求と看護
看護と患者の情緒との関係
加藤 正明
1
1国立精神衛生研究所
pp.10-13
発行日 1961年6月10日
Published Date 1961/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202339
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患者の情緒が身体の病気に影響し,また身体の病気が情緒に影響することは,アリストテレスの昔から問題にされてきたことであり,わが国でも貝原益軒や杉田玄白をはじめとして,多数の養生訓が同様の問題をとりあげている.
キャノン教授が猫に犬をけしかけると,はげしい怒りとともに脈拍や血圧の上昇,赤血球増加,血糖上昇,アドレナリン分泌増加,胃腸運動の停止があらわれるこを実験して以来,人間でも感情緊張とともに交感神経が活動して副腎からアドレナリンが分泌されることが明らかになつた.またセリエ教授は物理化学的な刺激でも心理的刺激でも,同じように胸腺萎縮,副腎肥大,胃潰瘍という三つの症状がおこることを,ネズミの実験でたしかめ,この刺激をストレス因子と呼んだ.またパブロフの犬による条件反射の研究も,情緒が胃液の分泌を左右することを実験的に明らかにしたものである.
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