Japanese
English
特集 産科合併症・2
妊娠と情緒的問題
Pregnancy and emotion
長谷川 直義
1
Naoyoshi Hasegawa
1
1東北大学医学部産婦人科教室
pp.527-530
発行日 1966年7月10日
Published Date 1966/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203511
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はじめに
従来の医学は,たとえば産科合併症の問題についても,その肉体的な面のみに考慮をはらつてきたといつてよい。しかるに今日では,妊娠がどのような過程をたどるかについては,生物学・心理学および社会学の関心の的となつている。しかし,妊娠の感情生活はどのようなものであるか…となると,それは全くナゾにつつまれているといわざるをえない。その理由の一つとして,直観的で内省的な女性というものは,妊娠中の自分自身の感情的な過程を観察することを,はなはだ嫌がるからだといわれている。けれども,われわれが婦人の心身症の診療や心身医学的な研究を推しすすめてゆくためには,症例ごとにニュアンスを異にする複雑きわまりない女性の感情面に深くたち入り,それを理解しなければならない。そのため,臨床医学はこれまで精神分析によつて,あるいは精神分析的な理解の上に立つた面接法によつて,これを行なつてきた。そこで今回は,この方面での第一人者であるアメリカの故F.Dunbar女史,ドイツのH.Deutsch女史およびフランスのMi—chel-Wolfromm女史たちの研究を参考にしながら,われわれの経験からえられた事柄について二,三ふれ,その上で産科合併症としての妊娠中にみられる心因性疾患をのべてみたい。
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