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学生の就職希望
所沢 綾子
1
1編集部
pp.10
発行日 1960年2月10日
Published Date 1960/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202022
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卒業期が近づきました.
N保健婦専門学院の就職希望は,学生の半分以上が「学校」を希望して来たといいます.実際に決定した結果は,学校が4名,町村が5名,病院へ帰つた人が6名,保健所が1名,准看学院が1名,2人が未決定であるそうです,この学校は,かつて先生が非常に積極的に,町村に入ることをすすめていらしたようで,以前は随分町村へ入つていく人が多かつたと聞きますが,現在は,決定権は学生にあるのだから,公平に現状を考えて,学生自身がえらぶことが一番いいのだという結論を得て,今は意図的な指導はしていないといいます.その結論を得る迄には,町村に出た人々が持ち帰つてくる悩みや問題に,先生ともども,苦しんだという話も聞いています.出ていつた卒業生達が持ち返つてくる悩みは,自分が伸ばされていないという悩み,文化的なものから遠ざかつているあせり,孤独感等が多いそうです.自分が伸ばされていないということは,仕事の上でいきづまつた時に指導してくれるいい指導者がいないということと,もう1つは新旧の時代のずれから,むしろ先輩によつて自分が殺されていると思うことの2つの原因があるようです.こうした訴えを聞くたびに,学院の先生は,結局は自分の教育のあり方自分という人間そのものの問題にはね返つて来て,教育者としての悩みを感じているようです.
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