映画紹介
私は死にたくない/お早よう
外輪 哲也
pp.14,41
発行日 1959年6月10日
Published Date 1959/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201886
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この映画の冒頭には,フランスのノーベル賞作家アルベール・カミユの「この映画に描かれた非常な物語は,しかし真実の物語である。全世界の人々はこれを見,これを聞かなければならない.ここには我々が生きる時代の現実がある。そしてこれを無視する権利は我々にはないのだ!」という献辞がかかげられているが,事実実際にあつた事件を素材にしたこの作品は,かなりシヨツキングなもので,日本の「真昼の暗黒」(今井正演出)に非常に近いものになつている.ただ「真昼の暗黒」では「まだ最高裁がある!」と絶叫するところで終つているが(モデル「八海事件」は裁判やり直しになつた),この作品の主人公は最後まで無実を叫びながらガス室に消えている.
—カリフオルニア州バーバンク,1953年3月9日の夜,モナハンという老婦人が惨殺された.警察では,札つきの前科者パーキンスとサント,さらにバーバラ・グレアムという30歳の美人を逮捕した.バーバラは最初から無実を主張し,当日は家にいたと言い張つた。その夜夫のヘンリーと激しく言い争い,夫が家を飛び出して行つたのを記憶していたからだ.が,見つけ出されたかんじんの彼は,麻薬のため,その証言を信じられない.また,同囚の1人から500ドルでアリバイが作れると言われて,それをやろうとし,かえつて不利な立場に追いやられる,警察側はトルー1人の証言のみでバーバラを有罪ときめつけ,しかも犯罪に関係したというそのトルーは釈放される.
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