特集 国民健康保険と保健婦
調査の設計—その具体例の1つについて
田中 恒男
1
1東京大学医学部衞生看護学科公衆衛生教室
pp.22-23
発行日 1958年12月10日
Published Date 1958/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201772
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調査の設計という事が,今迄とかく軽んじられてきた.やればよい,という考え方が私達みんなの,頭のどこかに巣くつていたのに相違ない.最近,社会学の分野の急速な進歩にともなつて,調査という事もひろく行われる一方,簡単には出来ない風潮になつた.そこで,私達も,調査の参考書を集めたり,実際に調査したりして,具体的な経験として,調査の設計の重要性を,強く感じている.最近保健婦会からもその要望があつたりして,教室の勝沼先生と御一緒に,小冊子(調査研究の技術と方法:日本看護協会,保健婦会出版:昭和33年4月)をまとめたが,基本的な,重要事項については,殆んどその中に書き記した.したがつて,本論では,そんな基本的な論議は暫くおき,適当にその冊子でもみていただくとして,具体的な事例を1つ御紹介して,皆様方の御参考に供しよう.これはN県1市で,私が調査をしている時にたまたま,そこの保健婦さんから相談をうけた事例であつて,その解析には,教室同僚の橋本さんが手伝つてあげたもので,多方本号に併載されているが,保健婦さん自身の事例という点でも,御紹介する意味があると思う.
さて,その調査の目的は,保健婦設置の効果を調べたいが,どんな風にやつたら良いだろうかという事であつた.そこで,いろいろ話し合いをした上で,とりあえずパイロツト・スタディ(方針や方法をきめる為の準備研究)として,以下の様な設計をたてた.すなわち
1)保健婦業務が円滑にいつている村を1カ所選ぶ(有意選出でよい.)
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