臨床医からの質問に答える
「癌治療におけるpharmacogenetics」の具体例を教えて下さい
日野田 裕治
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1山口大学大学院医学系研究科臨床検査・腫瘍学分野
pp.1336-1338
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102665
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はじめに
2008年の臨床検査医学会で「癌治療におけるpharmacogenetics」という教育講演をさせていただいたのですが,このときに“癌”という字を使ったのは上皮性悪性腫瘍に絞った内容を意図したのが理由です.悪性腫瘍には上皮性と非上皮性(肉腫,白血病)があり,癌というと前者を意味します.広い意味で“がん”とかな表記されてきましたが,漢字とひらがなで意味が異なるというのもわかりにくいので,全体を意味するときには悪性腫瘍と呼ぶほうが適切と思われます.最近ではがんの治療薬も抗がん剤ではなく“抗悪性腫瘍薬”と呼ばれるようになっています.
一方,“pharmacogenetics”というのは薬理遺伝学のことで,薬物代謝や薬物に対する生体反応における遺伝的素因の役割を研究する学問です.よく目・耳にする“pharmacogenomics”というのは近年のゲノムワイド研究のニュアンスが加わった新しい用語です.これらの定義については次のURLを参照してください(http://www.pmda.go.jp/ich/e/e15 08 01 09.pdf).
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