特集 国民健康保険と保健婦
保健婦設置の効果に関する研究—地区民の保健衛生に関する知識並びに態度について
松村 喜代
1
,
橋本 秀子
2
1保健婦会長野県飯田市下伊那支部
2東京大学医学部衛生看護学科公衆衛生教室
pp.24-31
発行日 1958年12月10日
Published Date 1958/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201773
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はじめに
国民皆保険の気運のもり上がりとともに,町村に於ける保健活動としての第一線機関である保健婦の設置が,どの様な効果をもたらすものであるかについて,諸方面から検討を加えられつつある.しかし乍ら,その実証的な資料にとぼしく,単に統計数字の比較に止まつている模様である.これは誠に正当な方法であり,必須の資料となるものであるが,公衆衛生活動の効果判定が,短期間の結果によつてなされることが不可能であると同じく,その一分野としての保健婦活動が,単に出生率,死亡率,傷病量などの変化として,端的に表現されることは,殆んどないと考えて差し支えないであろう.この場合,これらの数値は,その地域の衛生状態を表現する為の基礎をなすものであつて,効果判定の為に用いられるのは当を得ていない.
したがつて,具体的に,保健婦活動の効果を表現するものは,むしろ,保健衛生に対する地域住民の慾求であり,知識,態度などの相違であろう.我々は上述の観点から,某県下における,保健婦設置の効果を測定する為に,質問紙法による予備調査を実施し,今後の研究を推進せしめる為の解析を試み,一応の結果を得た.全ての資料をまとめた上で改めて正式に報告する予定であるが本報では予報的な意味からその概略について報告する.
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