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受験生のための眼の衛生
加藤 格
1
1東京大学医学部眼科
pp.15-18
発行日 1958年11月10日
Published Date 1958/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201753
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受験生というもの
表題の受験生という言葉をみまして,私自身には受験生といえるような時があつたかどうかをおもい出してみました.小学校から中学校そして高等学校,この間には入学試験のため特別に時間をさいて勉強したおぼえはありません.ただなんとなし漫然と受けた試験に合格し,そしてまた次へと進んでいつたにすぎません.高等学校から大学の医学部を受けました時には短期間ですが受験勉強をやつた記憶があります.これは,私のおりました高等学校は,毎年2月1日が記念祭で,その卒業を間近かにひかえた最後の記念祭の夜に,数人の友人達とお酒を呑みながら明日からは一つ勉強に取り掛ろうとお互に約束をしてから始めたことを覚えているからです.おもえば生涯を通じてただ一度,それも正味2カ月にみたない受験生生活を味つたわけなのです.
受験生という言葉は昔からあります.しかしれれが一種の職業となつてきましたのは戦後のことです.予備校に入るためにも入学試験を受けなくてはならないということや,6・3・3・4年の学制ではなくて,浪人生活が1年間入つて6・3・3・1・4年が当りまえであるというようなことを学生が話しているのをききますと,現在では受験生という立派な身分が社会的に保証されているものと思われます.
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