講座
身体障害児のための療育制度
若松 栄一
1
1厚生省母子衛生課
pp.16-20
発行日 1958年6月10日
Published Date 1958/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201662
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われらは,日本国憲法の精神にしたがい,児童に対する正しい観念を確立し,すべての児童の幸福をはかるために,この憲章を定める.というのが昭和26年の子供の日に制定された児童憲章の前文であつて,その中の一項に「すべての児童は身体が不自由な場合,または,精神の機能が不十分な場合に,適切な治療と教育と保護が与えられる.」といい又「すべての児童は,職業指導をうける機会が与えられる.」ともいつている.これらの文章は,すらりと読めば何の変哲もない事のようではあるが,実は制定の過程に於て練りに練り上げられて産れた文章なのである.身体不自由児に治療と教育と職能訓練を!というのが療育制度の産みの親,育ての親ともいうべき高木憲次先生の終生の念願であり,努力目標であるという事が出来るのであるが,この短文の中に憲章の起草委員であつた先生の強烈な主張とその実現に対する熱情が脈々と波うつているのである.この宣言は単なるうたい文句でなく現実の制度によつて裏付けされ,着々その実績を挙げている事によつて"生きている宣言"である点に於て意義深いものがある.
昭和33年度の予算編成並びにその国会審議の過程に於て軍人恩給の問題に関連して一般的な国民年金制度の検討という事が大きな焦点となつた.
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