講座
福井の肢体不自由児協会の沿革
牧山 等
pp.21-25
発行日 1958年6月10日
Published Date 1958/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201663
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現在いわゆる片輪者と呼ばれる子供達が本県には推定2,000人,全国では10,000人もあります.親の不注意などによるものもありますが,その大多数は本人に何の罪もなく,先天的に或は乳幼児期における病気或は不幸な事故などが原因となつているもので占められているのが実情です.
あまりに陰惨な響きを持つ片輪者という言葉から肢体不自由児に置きかえられ,世間一般にもどうにか通用するようになつたのは極く最近のことで然も此の呼称も全国のこれら子供の親達が各方面に対する血の滲むような努力と涙で書き記した言葉であります.箸の上げ下しも出来ず又歩行も叶わない可哀そうな吾が子を見詰め育てる親の気持は子供が無邪気であればある程身を切るよりも切ないものです.この子供を少しでも不自由からときほぐし,出来るならば一人前の人間として社会に一人立ちさせたいと願うのは人の子の親として誰しも同じことでありましよう.余程経済的に恵まれた方でない限り現在のように整形医学の進んだ時代にあり乍ら,その恩恵に浴することは困難と考えられます.
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