講座
子供のリウマチ
細川 一真
1
1大阪大学医学部公衆衞生学教室
pp.16-18
発行日 1958年3月10日
Published Date 1958/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201588
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保健所のクリニツクで,或は訪問された家庭で,青いむくんだ顔をして,動悸がひどくて仕事にもつけない人を御覧になることがあるでしよう.それほどではなくても疲れ易くてすぐ胸がどきどきすると訴える人は案外多く,日常保健婦さんはよく相談を受けられることと思います.しかも,こんな症状は若い人に多いようです.これらの人々の全てが心臓病とは限りませんが.その中にはリウマチ性心疾患,すなわち心臓弁膜症(老年となつてからおこる弁膜症は大部分がリウマチ性ではありません)の方が多数含まれていることは事実です.心臓病,これは他の病気とは異つた恐怖感をこめて呼ばれる疾病の一つです.何故なら,活動力の源泉と考えている心臓を侵し,しかも一度罹患すれば完治することのない病気ですから.
このような方を御覧になり,又相談を受けた時,保健婦さんはどう返事し,どう指導されますか.「これは心臓弁膜症ですよ.一度罹つてしまえば治りつこないんです.無理をしないで安静にしているより仕方がありません」では患者さんは取りつく島もないし,保健婦さんも後味の悪さを感じることでしよう.もつと得心のゆく指導や予防措置ができないものでしようか.それには心臓弁膜症がどうして発生してくるか,を知らなければなりません.一口で云つてしまえば,心臓弁膜症の原因は子供のリウマチなのです.
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