Nursing Study
「子供と環境」について
原 ろく
1
1都立清瀬小児病院
pp.17
発行日 1959年5月15日
Published Date 1959/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910844
- 有料閲覧
- 文献概要
批評をということでありますが,それは専門の方々にお願いいたしまして,毎日子供達に接している貧しい経験を通して考えていることを記しましてそれにかえさせて頂きます。
私達おとなでありましても環境の如何によつて或は友達の在り方によつても,動揺することもありますので心身の安定しない成長期にあります子ども達がその環境に左右される,いわゆるおとな達の在り方が子どもに反応する状態は,まさに鏡に向つて自分の姿をうつすようなものであるといえましよう。毎日の子ども達の動きは,家庭でも両親兄弟の在り方が反応し,入院中の子ども達なら,病棟に働く何人かの看護婦やその他の職員の一挙手,一投足がそのまま子どもに敏感に現われてくるといつても過言ではありません。看護婦の一人の不用意な言葉,行動によつて全体が乱れ,子ども達の心を不安定なものにすることもしばしばみられることであります「狼に育てられた子ども」と題した本を読んだことがありますが,子どもに接する人の在り方が,また指導が如何に大切であるかがわかりました。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.