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讀者からの手紙
橋本 道夫
1
1厚生省公衆衛生局保健所課
pp.9
発行日 1957年10月10日
Published Date 1957/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201501
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保健婦さんへの便り
薄暗い厚生省の建物の中で仕事を始めてから,早や7カ月目をむかえました.保健所課の仕事も次第になれて,又新しい仕事の領域を求めて張切つて働いています.保健婦さん達と毎日机をならべて,共に語り合いながら保健所で働いた年月を楽しく思出します.
何かの都合で都内や近県の保健所を訪れて,保健婦室に立より,見なれた訪問カバンや記録をながめ,又仕事について色々話しをするともとの古巣にもどつたようなうれしさを感じます.昨日,大阪の私が始めて勤めた池田保健所の現在の所長さんがたずねてこられました.そこでは保健所のプログラムをどしどし改良し,所内のクリニツクを減らして地区活動を強化し,保健婦さんの駐在制の実施や,医師会や市役所,地区組織とタイアツプした結核住民検診の推進など,心のおどるような嬉しいニユースでした.北摂ブロツクの保健婦長さん達も集つて,協同の学習を進めておられる由,生き生きした現場の仕事の息吹に久し振りに接して,大いに力づけられました.所長さんが私にみせてくれた住民検診の患者台帳をめくつていると,何人かの私が働いていた時からの患者さんの名が目にうつりました.レントゲンのフイルムのスケツチと,保健婦さんの記録を通じて私の頭の中にやきつけられた,これ等の人々は顔こそ知りませんが,深い人間的なきずなを感じさせられました.
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