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讀者の手紙
橋本 日出男
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1京都大學衞生學教室
pp.171-172
発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200735
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學校衞生統計調査項目中の大きな無駄
1千9百萬人の身體檢査の結果を對象とする此の大統計の集計は昭和23年から從來の學校衞生關係者の手から離れて地方統計機構の系統を通じて行う事になつた事は,徴兵檢査及國民體力檢査の無くなつた今日正確迅速を期する上から機宜を得た措置と云わなければならぬ。然るに此の調査項目中の榮養状態要注意者數は其資料が區々であつて集計の意味をなさず國家的に大きな無駄をして居るのみならず實際面に於て健康教育實施上大きな障碍となつて居る。茲に例を最近の京都市小學校兒童に取つて見るならば榮養要註意の全然無い學校も有れば之が全兒童の1/3以上にも達する學校もあつて其結果が甚しく不統一であるが之は身體檢査規程に榮養状態の正確な把握法や各校醫の主觀の相違を是正する手段が規定されて居ないためである。もつとも以前は肋骨附着部が識別される程度によつて三段階に分類する方法が行われたが之は本邦學童には判定が酷で實情に副はぬ憾があつた。其後本邦に於ても種々の判症法が行われたが主として計測値のみを基準としたものが多く臨牀的所見を併用したものが少く適當と思われるものがない儘に戰爭になり昭和19年には其の檢査實施要領で『榮養指數等により判定するの要なき事』と規定され各校醫の主觀に一任された形となつた。
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