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讀者の手紙
鈴田
1
1東京大學醫學部
pp.149-150
発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200796
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公衆衞生—統計の不備について
大古の人々が神の崇りとして祈祷すること以外なす術を知らなかつた疾病に對して,多くの研究者の努力はそれらの大部分の病原體をつきとめ,原因を探究し洽療法を發見した。しかし現在の状態に於ては1人々々の醫師が個々の患者を對象として診斷し治療している。いわば昔の一騎打の如き職を挑んでいる。戰闘法に於ても嘗ての個々の戰いから集團戰闘に移つて行つた如くに醫療に於ても先づ「人間の群」の襲われる疾病に對して強力な豫防線を張り,大部分のものをこゝで食いとめる。之を洩れて來た少數のものを白兵戰で斃すと云う方法がとられねばならない。
この爲には人類は如何なる疾病にどの位かゝり,如何なる工合にして最も多く命を失うかを知らねばならぬ。之が即ち人口動態及疾病統計であるが,さて我々が實地を調査してこれらの統計に當つてみる時に大きな矛盾を感ずるのはあながち筆者1人ではあるまい。
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