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衞生教育のために試みた血圧調査
小倉 学
1
,
塚田 京子
2
1東京大学教育学部健康教育研究室
2埼玉県春日部保健所
pp.66-69
発行日 1956年9月10日
Published Date 1956/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201272
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まえがき
近頃,地区組織活動ということが盛んにとりあげれるようになり,それによつて公衆衛生の成果が大きく前進させられていることは周知の事実となつています.しかしその中に,大きな問題が見おとされていることを指摘したいと思います.このような民衆組織の大多数が,地域の実情や選ばれざる大衆の意向を無視して,一方的,画一的に上から与えた組織であることを,ここで考え直してみる必要はないでしようか.もし,まず組織をつくれということが組織活動の第一条件だとすると—実際にこの事はスローガンとして通用しています—それは出発点から大きな過ちを犯しているといえましよう.このような考え方のもとでは,組織は教育によつて次第に育て上げられるものであるよりも,民衆が受身の形で一定の様式を,多くの場合に○○会規約というものまでも受取ることになるのも当然のことと思います.
私どもはここに問題意識を求めて,真の意味の民衆自身による組織活動の研究にとりくむことにしました.保健所と研究室が中心になり,県衛生部,市衛生課内牧小学校が参加して共同研究の体勢がとられましたので,各領域からの資料や意見が出され,経験の交流が行なわれています.
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