今月の言葉
西と東のちがい
pp.9
発行日 1956年8月10日
Published Date 1956/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201239
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ものの違いをたとえて説明する時に,「西と東の違いがある」ということをよくいう,犬が東を向いて立つていれば,尾は西を向いている,といつた具合で,前後のちがい,左右のちがい,みな西と東のように相分れることはよくわかる.併しそれは,物理的にちがつている問題なのであるが,もつと実質的にちがうものがあるのではないであろうか.西と東にあるもののちがい,西と東にある国のちがい,そこに住む人のちがい,そこに形成されている生活のちがい,うみ出される文化文明のちがい,単に顔形のちがいでなしに,もつと内面的なもののちがいをも,西と東が異つてもつているものがあるのではなかろうか.
何故ちがつているかの問題は別の研究にゆだねるとして,身近に気のつくそのちがいを少し考えてみることによつて,お互いに考えなくてはならぬことを発見出来れば幸だと思う.
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