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世界の波
末松 満
pp.42-43
発行日 1956年6月10日
Published Date 1956/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201213
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「いやなお客をどう接待するか」……という大論文が,イギリスの一流新聞オブザーバーに掲載されたのは,ちようど日本で桜の花の満開どきであつた.だがイギリスでお客といつたのは花見の酔つ払いではない.4月18日を期してロンドンへ乗りこんでくるソ連の両巨頭(ブルガーニン首相とフルシチヨフ共産党筆頭書記)を指していたのである.
4月16日にはロンドンにあるソ連通信社タスの社屋に放火があつたり,翌日はマルクスの胸像にペンキが塗られたり,いやなお客へのいやがらせがつづいたが,ソ連側もさるもの,あす両巨頭の乗艦がイギリスへ着くという17日夜「コミンフオルムは解散する」と発表した。コミンフオルムといえば,1947年に作られた欧洲共産党組織の情報機関であり,イギリスも相当ひどい目にあつている厄介ものだ.これを解散するとの吉報を背負つて両巨頭が御入来とあれば,イギリスも笑顔を見せぬわけにはいかない.
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