世界の波

　ナリマン・サデクという17才の娘さんが恋人と2人で街の宝石店で買物をしていた時，通りかかつた王様がその美しさに見惚れ，無理やりに連れ帰つて王妃にしてしまつた……と申すと，何か昔の物語のようだが，さにあらず，1951年エジプト国中を湧き上らせたフアルーク国王の結婚がそれである．

　こんな無茶をやる国王では，民主主義の洗礼を受けた国民は承知できない．翌1952年7月26日，ついに国王ならびに王妃はアレキサンドリア港から船に乗せられて地中海上へ追放されてしまつた．これがエジプトの革命である．革命政権の首相となり，去る6月下旬にに大続領になつたのは，当年未だ38才のナセル大佐だが，2,200万国民の信望をつなぐためには何かどえらい業績をあげて見せるにしくはない．