特集 慢性疾患—明日の公衆衛生のために
月経障害(ホルモン療法)
藤井 久四郎
1
1医歯大
pp.109
発行日 1956年5月10日
Published Date 1956/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201186
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月経が子宮内膜の変化によつて起ること,子宮内膜の変化が卵巣ホルモンの作用によることは既定の事実であるから,月経障害もまたホルモンの異常で起るのはいうまでもない.しかし,この場合に必ずしもホルモンめ異常がなくて起る月経障害があることを忘れてはいけない.その最も代表的で比較的屡々あるのは子宮内膜の結該である.すなわち,子宮内膜が或る程度以上結核のために破壊されて来ると,卵巣機能は正常で,そのホルモン分泌と何等かわりなく行われているのに子宮内膜がこれに反応しない.したがつて無月経や異常出血が起つて来る.これは内分泌の異常で起つて居ないのだから,ホルモン療法は無意味である.したがつてこのような症状が頑固にある場合には,子宮内膜の組織検査,子宮内泌液の結核菌培養検査,子宮・卵管のレントゲン検査などを行つて診断を確実にする必要がある.必ずしも肺結核などの既往症があるとは限らず,一般状態も極めて良好な場合が少くないから,注意を要する.
次に最もありふれたホルモン療法をのべる.
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