指標
月経発来と思春期のホルモン変化
矢内原 巧
1
,
大沼 靖彦
1
,
中浜 之雄
1
,
大野 秀男
1
,
金沢 元美
1
,
橋野 正史
1
,
荒木 日出之助
1
,
中山 徹也
1
Takumi Yanaihara
1
1昭和大学医学部産科婦人科学教室
pp.821-830
発行日 1979年11月10日
Published Date 1979/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206121
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小児期から成人期への移行期にあたる思春期では,全身の急速な発育とともに,2次性徴の発現と促進,初潮に続く性周期の確立と,いわば女性にとっては人生の最も大きい変化を伴う時期にあたる。生殖生理学の面から思春期をみた場合,それは性成熟過程そのものであり,内分泌機能の発育がその基底となっていることは明らかであろう。その過程としては性中枢の発育,性腺の発育,そして内外性器の成熟を伴う2次性徴の完成へと続くが,これには単に間脳—下垂体—性腺系のみならず副腎,甲状腺,松果体など各種の内分泌腺の発育も密接に関連していると考えられる。
性腺ホルモンの分泌とその作用はすでに胎生期初期より行なわれ,内外性器の男性型,女性型への分化を誘導し,それは睾丸より分泌されるan—drogenによるものといわれる。また,胎児期の血中FSH値が妊娠中期までは女子で男子より高値であることから,中枢のfeedback機構も存在していると思われる1)。胎生期に続く新生児期では血中testosterone値に性差があり,男児では生後5ヵ月まで女児に比べ高く2),この性腺ホルモンが将来の性成熟後の男女差に何らかの生理的意義をもつと考えられる。この時期でのFSH値に関する報告では3)生後1ヵ月より1歳まで女児血中値は男児より有意に高い。新生児期に続く小児期では従来より性腺はほとんど機能が停止状態にあり下垂体,性腺ホルモンには男女差もないといわれる。
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