今月の臨床 月経前症候群と月経痛─どう対応するか
月経痛
機能性月経痛への対処法―ホルモン療法
福原 理恵
1
,
藤井 俊策
1
,
水沼 英樹
1
1弘前大学医学部産婦人科
pp.999-1003
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100372
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はじめに
月経困難症は「月経に随伴して起こる病的症状」と定義され,月経開始あるいは開始2日前頃から始まる下腹部痛,腰痛を主とした症候群である.下腹痛はしばしば腰背部,下腿前面に放散し,頭痛,嘔気,嘔吐,脱力感,下痢などの随伴症状を呈することもある.
月経困難症は生殖年齢女性の25~90%1~3)にみられ,日常診療においてよく遭遇する疾患の1つである.現在では月経困難症の病態生理についてかなり解明が進んでおり,有効な薬物治療などもある程度確立されているが,婦人科受診への抵抗感や,一般に月経痛は生理的状態と周囲から認識されることも多いことなどから適切な治療がなされず,QOL(quality of life)の低下をきたしている女性が少なくない(厚生労働省の研究班調査によると,6%もの女性が鎮痛剤を飲んでも寝込むなどの生活に大きな支障をきたしていることがわかっている).
月経困難症は,器質的異常がない機能性(原発性)月経困難症と器質的疾患による器質性(続発性)月経困難症とに大別され,その90%以上が機能性である.機能性月経困難症は初経後,または排卵周期確立後に出現し,次第に改善していくものが多い.
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