講座
社会心理学者の見た"生きものの記録"
乾 孝
1
1法政大学
pp.24-27
発行日 1956年1月10日
Published Date 1956/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201093
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"死の灰"が音もなく降りそそぐ日本のものがたりである.たえまない原子病の恐怖にさらされながら,この不思議な国の住民たちは,ウソのように落つきはらつて,目前のことのために没頭している.
その中に,ただ1人,生きものならば,まつたく当然の反応を示す.その危險から逃れるために,本気で工夫し,活動するのである.そして,その当然の行動が,他人からはいや肉親たちからまで気違いあつかいにされ,しまいには,本物の気違いになつてしまうという筋だ.
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