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社会学者の見た看護婦の職場
杉 正孝
1
1立教大学
pp.14-17
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911844
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産業企業体における労務管理や人事管理の基礎となる人間関係を研究してきた産業社会学者の私が,病院の管理,とくに看護婦の生活を中心とする職場の組織や,そこで働く人びとの態度に関心をもつようになってから,まだわずかの年月しか過ぎておらず,発言の資格はないかもしれぬ。しかし,しろうとであるからこそかえって思いきって言いたいことが言えるだろうし,なによりも印象のまだ生ま生ましい現在の気持を文字にして表現しておくことは,私自身の今後の病院研究に役立つであろうと思うので,私の見た限りで,職場活動を中心とする看護婦の生活における特徴と現在での問題点を印象記風に書いてみたい。
白衣の天使から専門職へ
まずなによりも,看護婦の考え方と彼女たちをとりまく職場の雰囲気が急激に変動しつつあることが印象的である。変動しつつあるというからには,そこに古さと新しさとが混在しているのは当然であろう。そしてその変化は看護婦だけの問題ではなく医師,事務,ハウンキーピングなどの各職場を通じて総合的に進行している近代化の動きとして理解すべきものであろうが,ここではその全側面に言及している余裕がないので,とりあえず看護婦をめぐる問題に限定して述べてみよう。
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