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公衆衛生の動き
pp.50-51
発行日 1955年8月10日
Published Date 1955/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201004
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(1)
昭和30年度予算が7月1日に至つてようやく成立をみた.この結果,今まで暫定予算には計上されなかつた事業費がやつと日の目をみたわけだが地方財政が一層苦しくなつている現在,上下水道,伝染病院,隔離病舎,結核病床,精神病棟などの衛生関係の公共事業もそれぞれの地方公共団体がよほど力を入れないと適正な運営が難かしくなつてくる.
地方財政の建直しを口実に先に開かれた全国知事会議では,各都道府県歩調を合せて行政機構の簡素化を行う申し合せをしたが,その後岩手県,新潟県ではすでに衛生部,民生部の統合を行い,さらに他の府県でも懸案になつている所が少くない.また,衛生部内で課の数を減らしている府県も相当に多く北海道では5課が3課に,岩手県では3課が1課に縮少されている.従つて,衛生部内で人員整理も相つぎ府県によつては,保健所の統合や廃止をも真剣に考えているところが少くない.地方財政の苦しい事情はよく理解出来るが,と云つてもそのしわよせを衛生部の機構なりにもつて行くことは感心出来ない.公選制度で知事を選出している以上,府県財政の苦しくなるのは極めて当然で,本質的な問題を考え直さない以上,いくら機構改革を行つてみても,不健全財政が立ち直る筈がない.
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