講座
兒童心理(4)—幼児期(その2)
小林 さえ子
1
1実践女子大学
pp.26-29
発行日 1955年4月10日
Published Date 1955/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200932
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先月号で扱つた「感情・情緒の発達」のつづきをのべましよう.
前にもいつたように,情緒は精神のあらゆる機能の発達の中でも,特にはやくその芽が出そろい,速かに発達をとげるものです.しかし,子どもはまだ大人のように,情緒をコントロールすることができません.したがつて,幼児の全生活は情緒の色ずけが濃く,情緒が最も大きい力をもつことは容易にうなずけます.くり返していえば,精神分析学者はこのことを極度に重視します.幼児期の事情緒生活が,その人の成人後の性格決定に力をもつことや,またこの時期の強烈な情緒的経験(特に不快の系統に属する経験)が,無意識下に抑圧されたままになつていた場合,大人になつてから神経症をひきおこす原因となることを警戒しています.つまり,幼児期の子ども達には,できるだけ充ちたりた情緒の安定した生活をあたえることが必要なのです.
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