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世界の波
末松 満
pp.65-66
発行日 1955年4月10日
Published Date 1955/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200941
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カイゼル(ドイツ皇帝)が襟の高い洋服を着ているというので,世界中のしやれ者がカイゼルの真似をして高い襟(ハイ・カラー)になつた時代がある.それほど世界の中心となつていたカイゼルが「黄禍論」を唱えだした時には,全世界がギヨツとしたものである.黄禍論というのは,日本人,中国人,アラブ人のような黄色人種が,やがてヨーロッパその他の白色人種を征服してしまうだろう,との予言である.
カイゼルは1914年,第一次世界戦争をまき起して失敗し,黄禍論もいつとはなく影を潜めたが,近ごろになつてまたまた黄禍論に似た薄気味悪い予言がヨーコツパならびにアメリカにまき散らされている.それは,来る4月18日からインドネシアのバンドンで開かれるアジア・アフリカ会議の成りゆきに対する思惑である.
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