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世界の波
末松 満
pp.54-55
発行日 1955年7月10日
Published Date 1955/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200989
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ヒツトラー独裁のナチス・ドイツが灰滅してから10年をけみしたが,降伏記念日の5月8日を目前に控えた5月5日,パリ協定が効力を発してドイツは独立国に立ち帰つた.黒白赤3色のドイツ国旗が,北大西洋同盟の14カ国々旗と立ち並んで,ヨーロッパの空の下にひるがえる姿をニユース映画で見て,我々日本人でも感慨深いものがある.ドイツ国民の喜びはさぞやと察せられる.
だが,「ドイツ独立」とはいうものの,それは面積25万平方キロ人口5,000万の西ドイツが独立したということであり,面積10万平方キロ,1800万の東ドイツは,同じ民族でありながら,この独立から取残されている.なんたる悲劇,なんたる不合理であろう.このままにしておけば欧洲不安の源となるのは必定だ.米英仏3国は善後策について協議したものの,その権力の及ばぬ東ドイツには手の施しようもない.そこでソ連を含めて4国会談の機運が動いたのである.
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