ケース・スタデイ
兒童福祉について
時任 文子
1
,
長谷川 泉
1大阪鐵道病院高等看護學院
pp.35-36
発行日 1953年4月15日
Published Date 1953/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907279
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福祉事業の中児童福祉法の施行に伴つて數多くの人々が母子の保健の問題に直接間接に携わる事となつた醫師助産婦は從來とも母子の衞生問題と深い關係があり一定の基礎的資格に基き保健指導に活動して來た。
一方児童福祉施設中でも母子寮が最も難しいと言われている原因の最大のものは他は單なる子供だけであるのに對して之は母と子を收容する點であると思う。從來の母子寮運營では稍々もするとこの母の方に重點が置かれ易く子が二次的に取扱われた傾向がなかつたとはいわれない。言う迄もなく子供だけの場合は運營に當る人々が親になり代つて出來るだけ家庭的にと力めれば或程度迄の成果が收められるものだが母子寮となるとそこには母子世帶の生活が幾つもあるのであつて,それに單なる間借りにならぬ様にもつて行くのは容易でない仕事なのである。だから今迄の母子寮では差當り雨露を凌がせ何とか仕事の相談にのつてやり子供は一應保健面の世話をやく事で精一杯という所であつた事も無理はなかろう。しかもこの母なるものが所謂世帶崩れという言葉の當る通り一應自分のかまどを持つて來た人々であるから,何事にも一通りの意見も經驗ももつている事である。
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