書評
兒童憲章を活かす道
pp.41
発行日 1951年9月10日
Published Date 1951/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200142
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周知の通り本年5月5日の子供の日に制定された兒童憲章は法律ではない。從つて法律のように強制されることはないのでこの憲章の制定される前後は各方面からいろんな意味で注目されたものであるがさて制定されて後の關心はどうであろうか? 憲章それ自體は制定の趣旨なり各條の内容から考えても一つも苦情をいう人もないであろうし,又いうべき點もない。かくあらまほしと思われる事柄が前文から12條まで充分盛りつくされているまことに結構なものではあるが強いることが出來ないそれ丈けに一般の人からはかけ離れた死文におち入る樣な感がないでもなかつた。この弊を除き立派なものに活用して行く爲めには誰にでもわかり易く説明した格好な出版物でも出來たなら澤山の人に讀まれて,憲章は法律ではないが,法律以上のモラルであることが知られ,切角作られた兒童憲章が所謂畫餠に終らずにすむであろうと思つていた。兒童憲章研究會から各條毎にわかり易く例をもつて示された,兒童憲章解説書題して「兒童憲章を活かす道」が出版されたのは喜ばしい。
本書を讀んで感じられるのは實によく急所をつかんているということであり,又讀む人をしてあきさせない樣各條文毎に適當な挿繪を配置してあり,知らず知らずの中に全文を熟讀さす樣に苦心が拂われている點等編集者の苦心の跡がうかがわれる。
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