世界の波
納得のゆかぬ外交—借金拂いと賠償問題を回つて……
末松 満
pp.51-52
発行日 1954年7月10日
Published Date 1954/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200772
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「ごちそうさま」と御礼を述べて別れたのちに,その料理代の請求書が自宅へ舞いこんだとしたならば,だれだつて顏をしかめて不愉快がるにちがいない.
終戰直後,アメリカは日本国民に対して数々の援助をしてくれた.空腹を満たすようにと小麥や玉蜀黍,時には牛豚の餌料とおぼしきものまであつたが,なにしろ全部無料だと思つたので,一同ありがたく頂戴し,国会はマツカーサー元帥に対する感謝決議までやつている.国民が食うや食わずのころ,ちよつとばかり英語のうまい連中が,留学生として続々アメリカ拜見に出かけたのも,ガリオア資金とやらが,一切アメリカ持ちと考えられたので,日本政府が気前より送り出したものである.
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