インタビュー 眞島智茂さん訪問記
国際家族計画会議のことから
毛利 広
1
1朝日新聞西部本社
pp.38-42
発行日 1954年4月10日
Published Date 1954/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200719
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去年の8月17日から22日までストツクホルムで開かれた第4回国際家族計画会議に出席するため眞島智茂さん(日本看護婦協会福岡県支部長)が単身,日本を飛び去つたのは7月11日だつた。7月11日と言えば,九州は60年ぶりの大水害で,ことに眞島さんの故郷,佐賀の被害ははなはだしかつた.泥土におおわれた田畑は,その復旧に100年はかかるだろうといわれた程で,一朝にして荒癈に帰した田畑に農民は,なすところもなく茫然としていたときである.その目をおおう被害をよそに,眞島さんは簡単な旅装をととのえると,一路,ストツクホルムに向つたのである。
その時の気持を眞島さんは,次のように語つてくれた.「スエーデン,それは第1次世界大戰にも,また第2次世界大戰にも,国際情勢の困難の中に中立を守つてきた平和な国です.そして社会民主党の20年の政権のもとに,完全な社会保障制度を樹立した国です.ここで開かれる国際家族計画会議には,誰れからの援助がなくても,自発的にでも参加する必要があると思つたからです。そして,この自分の眼で戰後の欧洲の社会医療事業の進歩を見てきたかつたからです.
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