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第5回国際家族計画会議を顧みて(1)
村松 稔
pp.60-61
発行日 1955年12月10日
Published Date 1955/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201083
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10月24日より29日に至る6日間,東京マソニツクビルで開かれた第5回国際家族計画会議は予期以上の成功を収めて閉会となり,その後もしばらく日本にとどまつた多数の外国人出席者は各地の観光に夫々楽しい思い出をもつて故国への帰途についた.終始この会議の進行を身近に見守つた私の眼に映つた印象のいくつかをとりまとめて御報告しよう.
会議の日程全体にわたつてかなり詳細な点に至るまで各種報道機関がニユースとしてこれを取扱い,昨年8月の人口問題審議会の答申以来,次第に昂まりつつあつた日本国内の家族計画に対する関心はまさに最高潮に達した観があつた.会議の編成にあたつた責任者の一人としてもこの会議がアジア,わけても日本で行われたこと自体が,今後の日本のこの面での健全な進歩に資する所の大であるこを心から望んでいる.殊にインド代表の多数の発言のうちに読みとれた日本への関心の深さは印象的であつた.最終総会の議長をつとめたインドのラマ・ラオ夫人の言葉にも,同じアジアの国である日本に対しての親近感とそれ故に日本の経験は他の東洋諸国にとつて貴重な示唆を与えるにちがいないという確信がうかがわれ,家族計画といい公衆衛生といつても,いずれももはや単に一国だけの問題ではなく,既に国際的な規模の仕事となつている点が明瞭に感じられた.
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