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第5回国際家族計画会議を顧みて(2)
丹下坂 宇良
1
1家庭生活研究会
pp.62-64
発行日 1955年12月10日
Published Date 1955/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201084
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目下世界各国が取上げている人口問題について切実な悩みを持つているのは何と言つても日本でありましよう.其際この東京に於て,第5回国際家族計画会議が開催せられたことは,中絶ブームのさ中に在る日本の母親の為には申すに及ばず,指導者の為にも将又我国自体の為にも世界の人類の為にも,非常な有意義であつたと思います.参加国は十数カ国,其の人員は90名にも及び,内地の参加者300名を加えて本当に盛大な会議となりました.会場の右側には参加国の国旗が掲げられ,準備委員の北岡寿逸博士の開会宣言に続き,会長挨拶と予定のプログラムの通りに進行しました.私自身としても他の国の指導者はどんな工夫をして指導しているかを一言一句聞き洩すまいと言う気構えで朝の9時から午後5時まで6日間出席しましたが,私の最も希望していた具体的な事はあまり上程せられず,長年に亘る此の方面の権威者の研究とか立派な学者の発表とか,各国各々異つた事情等で実際の指導については極く簡単のことでありました.
私が一番印象的であつたのは,東洋の一角に此の人ありと豪語の出来るような立派な指導者は,印度のラマ・ラウ女史でした.流石にサンガー女史の後目と唄われるだけあつて,言葉こそ良くは解らないが通訳によばれ「七年前に日本に赴いた時は失意の最底であつた日本が斯くも早く立ち直つたことは驚異である.
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