口絵
日々に咲く花
pp.9
発行日 1954年3月10日
Published Date 1954/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200691
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若い頃には一つ年をとると一歩希望に近づいたような気がする.学校を卒業して社会人になれば,何となくほのかに目的地が見えて来るような,期待と,不安とに胸がふくらむ.然しその胸の中の求めるものは,近づいても近づいても遠くの方にある.空に描いた美しい虹の橋のように.
やがて結婚する人もある.いつまでもひとりで居る人もある.それでもまだ求めるものはもつと先の方にある.我々が心ひそかに描いている人生の目的地はまだ我々の手にないようだ.
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