連載 人を癒す自然との絆・23
震災のあと―それでも花は咲く
大塚 敦子
pp.476-477
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102136
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この原稿を書いている今日は,東日本大震災からちょうど1か月.日本中の多くの人がそうだっただろうと思うが,私も震災以来,ニュースに釘付けの日々が続き,寝ても覚めても被災地のことと福島第一原子力発電所の事故のことが頭から離れなかった.
それが,数日前,ようやくハッとわれに帰った.そのきっかけは,桜とスミレである.自宅の近くにある公園で桜が開花し,スミレがその根元で遠慮がちに咲いているのが目にとまったとき,突然,今自分が生きている季節の感覚が押し寄せてきたのだ.震災と原発で頭がいっぱいになっている間に,いつのまにか季節はめぐり,冬から春になっていた.
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