講座
流行性肝炎
中村 隆
1
1東北大学
pp.18-22
発行日 1954年3月10日
Published Date 1954/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200694
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肝炎の由來
1886年ワイルにより一種の伝染性黄疸が記載され,1915年稻田および井戸らによりその病原体が発見されたが,このワイル氏病およびその類似疾患とは別に経過良好で,從来カクル性黄疸と呼ばれたものはウイルヒョウが1864年に胃,十二指腸にカタルがあり,これが胆道,特に総輸胆管開口部に進んで,粘液の塊が開口部を閉塞するために黄疸が起るのであるとしてつけた名前である.
その後の研究の進むに從い粘液塊で閉塞される例は少く,また何ら炎症の伴わない例が多いことから,カタル性と云う名前を改めて,単純性黄疸などとも云われていたが,第1次大戰中エツピンゲルが黄疸にかかつている兵士の戰死した者を解剖したところ,今までカタル性黄疽,単純性黄疸と云われていたものの大部分は胃,十二指腸,胆道のカタルと関係がなく,肝臓そのものに特有の変化が存在するのを確め,カタル説にかえて,肝炎説をとなえた.
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