巻頭シリーズ アートとケア アール・ブリュットから受けとるもの・10
コンクリートに咲く花
稲葉 俊郎
1,2,3
1軽井沢病院総合診療科
2東京大学先端科学技術研究センター
3東北芸術工科大学
pp.887
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686201686
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小学生の時,地球の声が聞こえてきて外に出られなくなったことがある。それは幼少期の記憶だったのか白昼夢なのかは定かではない。地球がコンクリートに埋め尽くされてしまい,地球が息ができずに窒息しそうで叫んでいた。地球や土。そこから漏れ出る得体のしれない叫びが自分を飲み込み,外に出られなくなった時期があった。
両親は我が子に何が起きているのかさっぱり分からなかっただろう。ただ,子どもという存在は,大人が思っている以上に地球や宇宙と一対一で対峙しているのではないだろうか。多くの人が思い出せないだけで。
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