映画評
女の一生
M
pp.61
発行日 1954年1月10日
Published Date 1954/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200672
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寺の娘に生れた白川藤子が牛肉屋の息子(藤子の兄の学校友達)と戀に落ち,やがて結婚する.夫の父には二人の妾があり,しかも義母は盆暮には彼女等にきちんとつけとどけをしている.藤子にはそれが恐しいように思え,夫には絶対にそういうようなことのないようにと泣いて訴える純眞な美しい妻である.しかし彼女の純愛も又やがて夫に裏切られる.女中のゆきと夫とが関係していたのだ.しかも,ゆきは妊娠している.
ここから彼女の不幸な一生が始る.彼女とゆきの二人の子を育てる藤子.夫は子供を愛する妻から離れ,遂にバーの女と共にその情夫から祇園祭の日に殺される.彼女の最も頼りとしていた兄は思想犯で引張られる.老舖の牛肉屋を女手一つで切盛りして育てた太郞と次郞の二人の子は職爭にかり出され,ゆきの子次郎は戰死するが,太郞は帰つて来る.しかし太郞は女中と家出をし,姿をくらまし女はパン助となり,生れた子だけを藤子につきつける.藤子は年老いた身に,再び起ち上つて孫を育てようとする.
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