ルポルタージュ
水害の北九州を行く
後藤 正宏
1
1厚生省水道課
pp.37-42
発行日 1953年9月10日
Published Date 1953/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200594
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「九州地方に豪雨のため水害がある模樣です.この列車は何処まで運行するかわかりません.新しい情報のあり次第お伝えします」倉敷を出て間もなく車掌が列車の中をこう伝えて行く.東京を振り出しに名古屋京都岡山と地区別講習会を終えて,最後に九洲地区の講習会を別府で行うため26日の夜行で岡山発,福岡を経由して別府へ向う途中の出来事である.どの程度の水害だろうか.雨に合うのはちようど梅雨期だからやむを得ないが,などと考えているうちにウトウトし始める。再び車掌の声に眼を覚ます.「遠賀川の決壞のため,この列事は門司で取消しと致します」やれやれと思うがやむを得ない.前に坐つている人が「その先は行けませんでしようか」と車掌に聞いたが全くわからないそうである.
僕の方は別府での講習会が29日,30日の2日間.28日中に別府につけばよい.福岡での用事は帰りにしてもよいのだからノンキなものだ.
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