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水害と政治
H
pp.46-47
発行日 1953年9月1日
Published Date 1953/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200440
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今年は梅雨があけたのかあけないのか分らぬままにぐづついていて,気温があがらないと思つていたら,大変な水害がやつて来た.北九州の未曾有の水難に続いて,和歌山県でそれ以上の損害をこうむることになつた.これが,例年水害をさわぎたてる二百十日や二百二十日をまたずして起つた事柄である.何ということであろう.
日本の地勢は狹い国土の中にかなり峻嶮な山があり,從つて川は長さの短いわりに急流が多い.毎年きまつて水害におそわれるだけに,それぞれ水害対策は講じていないわけではないのだが,のどもとすぐれば暑さを忘れるたとえで,それぞれの対策が抜本的なものを缺き,その場限りのお座なり対策に止つていたために,天災地変があると,一たまりもなく押し流されることになる.
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