インタビュー
日本看護協会東京都支部長三浦貞さんを訪う
笹川 冷子
pp.34-36
発行日 1953年9月10日
Published Date 1953/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200593
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港区芝白金台町にある公衆衞生院に三浦貞さんをお訪ねしたのは7月なかば,梅雨あけを思わせるような爽かな風の流れる朝であつた.アメリカのロツクフエラー財団によつて建てられたという当院は,さすがに堂々たる構えと洗煉された風貌をそなえて,その朝の室気の中で,何か大きく息ずいている感じであつた.5階まである建物の窓は開け放たれ白い服の研究員の姿もちらほら見える.
3階に上つて看護学部のドアを押すと,今しも受話器を置こうとする三浦さんの姿が眼に入る.小柄で,むつちりと肉つきのいい肢体,派手な大きな瞳がひとところに落ちつくと射るように印象的である.「眼はパツチリと色白で,小さな口もとあいらしい……」の歌にも似た顔立ちであるけれど,どんなにみても近代約な,強い意志の跳ね返つてくるような感じである.ガチヤンと受話器の音を立てると,いきなり立つて行かれたが,すぐまた,にこやかに笑いながら帰つて来られた.忙しそうである.細い赤のチエツクのブラウスがちようど体格に会つて,ぴちぴちとした若さを与えている.
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