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公衆衛生の動き
pp.57-58
発行日 1952年12月10日
Published Date 1952/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200424
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結核予防費百パーセント予算化
昨春結核予防法が制定せられてから結核患者の医療費についても社会保障の精神によつて公費負担の線が強くなつた。しかし地方では国の組んだ予算に対して同額の予算を計上することが出来なかつたところが少くない。この傾向は本年度に於ても同樣で100%予算化していない府県が現在のところ相当みられる。このような現在であるので,結核予防法第37条で杜会保険各法や生活保護法の適用をうけている患者の医療費も結核予防費によつてこれをみると規定してあるにも拘らず,社会保険各法は別としても,生活保護法の適用患者については生活保護費によりたいという希望が都道府県側に強い。この理由は本質的な問題から出発したものではなく,結核予防費では国庫補助が5割であるに拘らず生活保護費では補助率が8割となつているという経済的問題によるものである。この点について厚生省では先日来幾度か検討を重ねてきたが府県に於て充分予算化出来ないために一部の結核患者が結核予防法による医療給付をうけられないという事態をも考慮して大蔵省の了解のもとに暫定的に生活保護費からの支出をも認めることゝなつた。しかし,このそ置はあくまでも便法であつて全府県が100%結核予防費を予算化すること上によつて,一日も早く本来の姿に戻ることが社会保障制度をもりたてることであると同時に結核行政をのばす途でもある。
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