音樂入門
音樂史(2)
山本 金雄
pp.47-49
発行日 1952年12月10日
Published Date 1952/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200422
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原始民族の音楽より始つてキリスト教発生以前の古代音楽,單音聖歌(一世紀より九世紀迄)のキリスト教音楽から,十六世紀迄のローマ教会の重音聖歌の中世紀音楽が発展して来て,いよいよ過去の音楽の総てを決算して,新しく近代音楽の基磐を作り上げた音楽史上忘れる事の出来ない作曲家が,同じドイツに生れたバッハとヘンデルである。バツハはヴァイオリン・オルガンを得意とすると同時に器楽曲,オルガン曲,平均率曲,宗教曲,聖歌等に幾多の重要且傑作を残し,中にブランデンブルグ協奏曲,カンタータ(400曲)150曲)のオルガン曲は特に傑出し250年後の現在レコードに舞台に放送に世界中に演奏されている。ヘンデルはバツハが主にドイツ一国に止まり他国へは行かなかつたのと対象的に若くしてイタリー南欧諸国を巡歴し,イタリー語の歌詞,肉声の作曲法を会得し,欧州各地を旅行,晩年はロンドンに於て活躍,主に声楽に関係のある作曲に傑作の大部分があり,殊に歌劇,聖歌劇,オラトリオはヘンデルによつて一大改革がもたらされた。歌劇「リナルド」の中の我をして泣かしめよ,歌劇「セルセ」の中のラルゴは現在に致るも傑作として演奏されている。
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