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屎尿とその處分について
洞沢 勇
1
1国立公衆衞生院衞生工学部
pp.14-18
発行日 1952年4月10日
Published Date 1952/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200259
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屎尿は人間の生存する所には必ず生産される。そしてこれは人間生活活動の結果生ずる排棄物で,單に吾々の環境を汚染し不快にするばかりでなく,種々の伝染病,寄生虫,中毒等の原因となることは今更言うまでもない。との状態をもつと具体化するために,いま日本の地図を頭の中に画いていただきたい。そして狹い地域の中に約8000万人の人間がウヨウヨしていることも考えていただきたい。この8000万人が毎日1人で平均1リツトルの屎尿を生産すれば,約8000万リツトルの国土の表面に毎日毎日流されているわけで,之は單なる仮定でなく,眞実に近い姿である。
環境衞生の立場からはこの膨大な汚染源をもつと科学的に検討して適当な対策を立てる必要がある。チフス対策,セキリ対策,寄生虫対策等もとの基地を処理しないことにはどうにもならないと考えられる。で,今囘は公衆衞生の上からとれ等に対する方策を述べる程の紙面もないので,衞生技術者からみた屎尿の面と日本では存在,どんな風にとの屎尿が処分されているかの実状を眺めてみたいと思う。
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