特集 屎尿と塵芥処理
都市における屎尿処理の諸問題
児玉 威
1
1神奈川県衛生研究所
pp.14-20
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201872
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まえがき
近年急速な人口の都市集中と農村における屎尿需要の減退から農村に還元されない屎尿,即ち余剰屎尿が逐年増加し,大都市のみならず地方中小都市でもこれが処分に困難を来し,衛生的合理的にこれを処理するよりも,如何にしてこれを量的に処分するかが当面の急務となつてきた。厚生省の屎尿処理5ヵ年計画によると5年後の都市の屎尿処理状況を,収集日量は現在12万1千石(対象人口2,200万人)に対して22万2千石(4,000万人)で84%増,農村還元日量は現在6万6千石に対し2万6千石で60%減,結局余剰屎尿は現在の約5倍の17万6千石を見込まなければならないことが推算された。実態調査の結果では屎尿の排泄量は人口1人1日当り平均5.7合,1年では2.1石であつて,現在収集日量12万石の都市屎尿は農村還元54%,下水道,屎尿消化槽等処理17%,不衛生処分(海洋投棄等)29%の割合で処分されているという。
屎尿は著しく浮遊固形物に富み,有機物濃度はわが国の下水の70〜80倍に達し,環境特に河海の重要な汚染源となる。
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