特集 農村の保健
屎尿処理問題にどう対処するか
松村 龍雄
1
1群馬大学・小児科
pp.217-218
発行日 1965年4月15日
Published Date 1965/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203029
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いとぐち 戦後の蛔虫症の蔓延していた時代に,私どもは蛔虫予防に志し,屎尿の殺卵剤による処理を研究したことがある。私どもが屎尿の化学処理を行なったのは,操作が簡単なことの他に,自然界における屎尿の腐熟による蛔虫卵の死滅のメカニズムが,化学的な過程であることを知ったからである。
研究の詳細は,以前に再三発表しているので省略するが,肥溜に燻蒸剤を中心とする殺卵剤を投与することを研究し,強力な殺卵剤として臭化メチル,臭化エチル,沃化メチル,沃化エチル,二硫化炭素などを得た。これらは,いずれも,肥溜の中に,2,000分の1の割合に投入すると,1週間ないし2週間で蛔虫卵を100%近く殺すことができた。このように薬剤処理した屎尿を用いて野菜を栽培し,それを食べておれば,蛔虫の感染は予防されるわけである。
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