研究
歴史からみた保健師活動の特徴―北海道における開拓保健婦の活動記録から
近藤 明代
1
,
真溪 淳子
1
,
大西 章恵
1
1日本赤十字北海道看護大学看護学部
pp.764-769
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100140
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■要旨
本研究は,戦後の北海道開拓とともに設置された開拓保健婦の活動を分析するなかから,その活動の特徴を明らかにし,現代の保健師活動にも共通すると考えられる基本的視点について明らかにすることを目的とした。
方法は,戦後開拓,農業,開拓保健婦活動に関する史料,手記,報告書などの文献を収集し,開拓保健婦が活躍した時代,地域の特徴,保健婦の位置づけを明らかにしたうえで,開拓保健婦の活動に関するデータを抽出し,各データがもつ中心的意味を解釈しながら,活動の特徴を探っていった。
その結果,開拓保健婦活動を次のようにとらえることができた。まず,個人の抱える健康問題の解決のために,生活に入り込み,生活に密着した個別支援活動という形で,求められる活動を展開した。その後,自然環境・社会・生活との関連のなかから,健康問題を個人の責任としてとらえるのではなく問題を生み出している条件に注目し,生活環境を整え,組織化をすすめ,集団の力で健康問題を解決しようとした。このように求められる活動からつくりだす活動へと展開している。そして開拓保健婦がもつ視点は,予防という将来を予測する視点と生活者としての視点をあわせもつものであった。この開拓保健婦がもつ視点と活動の展開の特徴は,公衆衛生看護の本質と通じるものであると考える。
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