特集 北海道開拓保健婦の足跡
住民と共に生き,共に働き……
北海道の開拓と保健婦活動
水野 優子
1
,
沼沢 美世子
2
1北海道滝川保健所
2岩見沢保健所
pp.14-21
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206457
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北海道開拓地の概況
緊急開拓事業が国の施策によって開始された時,北海道の占めるウェイトは極めて高く,戸数では全国開拓計画の5分の1を占めていた。開拓地の土地条件は悪く,面積は広大な上,平坦部では土壌改良を行わなければ耕地に適さない泥炭地,重粘土地,火山灰地等のいわゆる特殊土壌が多い。更に傾斜地は石ころが多く表土の流出がはなはだしい等,立地条件は極めて悪かった。亜塞帯に属しているため,低温等の気象の影響が大きいというハンディキャプを背負っていた。災害には特に弱く,過去幾多の試練を経て,苦難と斗い,2度にわたる振興対策,あるいは離農対策等,必要な施策が次々と講ぜられ,農家戸数は減少したにもかかわらず農業生産は年々着実なのびをみせた。このように開拓農家の北海道寒地農業に尽した功績は大きい。
しかし,昭和40年を過ぎると,若年層の流出による稼働力の不足,経営規模の拡大による労働過重,そして労働力の老齢化,過疎,といった種々の要素が加わり,経営基盤の弱いものにとっては深刻な問題を含んできた。
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